催眠って、ちゃんと学ぶ場所はあるんですか?
― 世界ではどこで、どんな形で教えられてきたのか ―
「催眠って、ちゃんと学ぶ場所はあるんですか?」
「それとも、本や動画を見て、あとは感覚なんですか?」
Spread Oneで話していると、
この質問は本当によく出てきます。

この問いには、とても大事な感覚が含まれています。
それは、
催眠は
信じるものなのか、
それとも
きちんと学ばれてきた“技術”なのか。
という、ごく自然で健全な疑問です。
結論から言えば、
催眠は、世界の中で確かに学ばれてきた技術です。
ただし、私たちが想像する「学校」とは、少し形が違います。
国立・公立の学校に「催眠学科」はあるのか?
ここで、多くの人は一度がっかりします。
「海外の大学に、誰でも入れる“催眠学部”がある」
というわけではありません。
これは事実です。
こうした形での教育は、
世界的に見ても、ほぼ存在しません。
ただし、
ここで話を終えてしまうと、
催眠の半分しか見ていません。

フランスにある「学校で教える催眠」の実像
フランスでは、公立大学の医学部・歯学部を中心に、
- 医療催眠(Hypnose médicale)
- 臨床催眠(Hypnose clinique)
が、大学ディプロム(DU / DIU)として教えられています。
これは、
- 学部生向けの授業ではなく
- すでに国家資格を持つ人が
- 追加で専門技術として学ぶ教育
です。
対象になるのは、
といった人たち。

フランスでは、
催眠は「誰でも名乗れる職業」ではなく、
医療・心理の専門家が使う高度な技法
として、大学制度の中に組み込まれています。
スイス・他のヨーロッパ諸国も同じ考え方
スイスや周辺国でも、
が、医療従事者向けに催眠トレーニングを行っています。
ここで一貫しているのは、
催眠は
「学校に通えば誰でもなれるもの」ではなく、
「国家資格の上に積み重ねる専門技法」
という扱いです。
中学・高校で催眠を学ぶ国はあるのか?
これもよく聞かれます。
結論としては、
催眠そのものが、中学・高校の科目として教えられている国は確認されていません。
ただし、
ここがとても重要です。

催眠は「名前を変えながら」教えられてきた
多くの国の教育現場では、
- 注意制御
- 集中トレーニング
- リラクセーション
- マインドフルネス
- 社会情動的学習(SEL)
という形で、
催眠と同じ脳の仕組みが扱われています。
それは、
です。
つまり、
催眠は
「催眠」という名前を使わずに、
名前を変えながら教えられてきた
というのが、より正確な見方です。
では、一般の人はどこで催眠を学ぶのか?
ここからが、多くの人が一番知りたい部分です。
世界的に見ると、
催眠教育の中心は民間スクールになります。

ただし、
どこでも同じ、というわけではありません。
国家制度に「近い」民間教育がある国
イギリスの場合
イギリスでは、
- 国家資格フレームワーク(RQF)
- 公的登録制度(CNHC)
といった 国が管理する枠組みの中に、
催眠療法のディプロマが位置づけられています。
これは国家免許ではありませんが、
- 能力レベルが国家基準で示される
- 医療制度(NHS)と接続する文脈がある
という意味で、
国家資格にかなり近い位置づけです。

アメリカの場合
アメリカでは構造が少し違います。
- 催眠は国家資格ではない
- しかし、民間資格で仕事が成立している
代表的なのは、
- HMI(Hypnosis Motivation Institute)
- NGH(National Guild of Hypnotists)
- ACHE(American Council of Hypnotist Examiners)
といった団体です。
これらは民間資格ですが、
- 数百〜千時間規模の教育
- 倫理規定・継続教育
- 実務で通用する専門性
を備えており、
実際にそれで生計を立てている人が存在します。
催眠は国家資格なのか?
ここで、ほとんどの人が勘違いしています。
「催眠士」「ヒプノセラピスト」という名前の国家資格は、
世界的に見ても、ほぼ存在しません。
しかし、
資格がない = 怪しい
ではありません。
正確には、こう理解するとズレません
催眠士という国家資格は存在しない。
しかし、
催眠という技術を使うことが認められている国家資格は存在する。
これが、最も正確な整理です。

催眠技術を使う国家資格
多くの国で、催眠は
- 医師
- 歯科医師
- 臨床心理士・心理療法士
- 看護師・助産師(国による)
といった国家資格者が、
専門技法として使用することが認められています。
特に医療分野では、
- 疼痛管理
- 手術前後の不安軽減
- 心身症・トラウマ対応
などで、
医療催眠・臨床催眠として正式に使われています。
イスラエルという、かなり特異な例
イスラエルでは、
- 催眠は政府(保健省)の管轄
- 催眠を行うには国家の許可が必要
- 医師・心理士などに限定
という 実質的な免許制 が敷かれています。
これは、
催眠士という資格を作らず、
催眠という技術そのものを国家が管理している
世界的にも非常に珍しい制度です。

なぜ「催眠の国家資格」は作られにくいのか?
理由は制度的なものです。
- 効果に個人差が大きい
- 評価基準を固定しにくい
- 権限濫用の誤解が生まれやすい
そのため多くの国では、
新しい資格を作るより、
すでに責任と倫理を持つ国家資格者に
技術として持たせる
という選択がされています。
まとめ:催眠はどこで学ぶのか?
整理すると、答えはこうなります。
- 国立・公立の学校
→ 医療・心理の専門職向けに限定的に存在
- 中学・高校
→ 催眠という言葉は使わないが、同じ構造は教えられている
- 民間スクール
→ 世界の主流。国家制度に近い枠組みと接続する国もある
- 国家資格
→ 催眠士という資格はないが、技術を使う国家資格はある
催眠は、
怪しいものでも、
何でもありの技術でもなく、
国家制度の「境界線上」で扱われてきた技術です。
Spread Oneで体験していること

ここまで読んで、
「なるほど」と思った方ほど、
まだ“頭で理解している段階”かもしれません。
催眠は、
理解すると分かった気になります。
でも、体験すると、
まったく別のものになります。
Spread Oneで行っているのは、
誰かを操ることではありません。
注意の向き先が変わり、
意味づけが静かに外れ、
身体の反応が自然に立ち上がる。
それは、
- 医療では「臨床催眠」
- 教育では「注意訓練」
- 日常では「マインドフルネス」
と呼ばれてきたものと、
同じ構造の上で起きています。
催眠を
「信じるかどうか」ではなく、
「自分の中で、何が起きるか」
それを静かに確かめる場所。
それが、Spread Oneです。